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『そして二人だけになった』

我らがN大の誇る森博嗣が作者のシリーズ外単発物です. 物語は外界から隔絶されたシェルターの中,六人の男女と殺人事件を中心に進みます. 衝撃のラストはどんでん返しに次ぐどんでん返し. 賛否を呼ぶその結末は,副題のUntil Death Do Us Partの意味を改…

『ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』

フジカワです。 久々に小説を読みました。鎌倉のある古本屋「ビブリア古書堂」が舞台。人見知りだが、古書に関しては並大抵ではない店主。 そこにアルバイトとして雇われた主人公が店主と一緒に古書に関する謎を解き明かしていく。 本好きとしてはたまらない…

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(下)』

読み応えたっぷりで、しかも飽きさせない。好きですこの本。あらすじ 〈世界の終り〉 奇妙な街、そこにあるのは周囲を囲む高い壁、影を失った人々、長くて寒い冬、そして一角獣。街の図書館で一角獣の頭骨から夢を読む仕事をしている〈僕〉の物語。 〈ハード…

『東方妖遊記〜少年王と第一の盟約〜』

舞台は数千年前、神々と妖が人とともに生きていた、古代中国・殷の時代。そこでは、化蛇(中国の龍みたいな外見の妖)が黄河の水を氾濫させ、人々を苦しめていた。時の王は、化蛇を退治するため、炎招戈(化蛇を倒すのに必要な武器)の使い手を都で集う。妖の気…

ハーモニー

お久しぶりです。オクダです。 今回は我が敬愛する伊藤計劃さんの“最期の長編”『ハーモニー』を紹介します。 未来。人類は、風邪やインフルエンザ、癌といった病を駆逐することに成功した。大人になると人は体の中に小さな機械を入れ、自分の恒常性を保って…

『村田エフェンディ滞土録』

1899年、村田は文化研究のためにトルコに滞在していました。下宿している屋敷にいるのは、ドイツ、ギリシャ、トルコ人の若者と、イギリス人の女主人、甲高く叫ぶ鸚鵡。 異国の地で過ごす中で、たくさんのものが彼の周りを通り過ぎます。見知らぬ文化との出会…

『1984年』

村上春樹の「1Q84」ではなく、ジョージ・オーウェルの書いた「1984」という作品なので間違えないように。舞台は一党独裁が進んで、社会主義化の道をたどった別の未来のイギリスである。読み始めてすぐ、共産主義ならではの情報を統制され、抑圧された生活に…

『夜のピクニック』

タイトルだけ聞くとなんだかほのぼのですが、物語の舞台は全校生徒が24時間かけて80kmを歩く高校の伝統行事「歩行祭」。主人公たちは高校3年生で、高校生活を総括する思い出を作るように最後の行事である「歩行祭」に望みます。あるものは同級生に対する複雑…

『鼓笛隊の襲来』

なんだこれは… どれもこれも現実とは並外れた奇妙な世界が広がっている。この本は短篇集なのだが、どれもこれも変である。本の題名にもなっている「鼓笛隊の襲来」。夏の間に日本を襲うのは台風であるというのが常識である。しかしこの話の中では襲来するの…

『探偵ガリレオ』

火の気のないところで、突如燃え上がる若者の頭、人の顔が映った金属板(デスマ スク)、心臓だけが腐った男の死体、幽体離脱した少年など、常識では考えられない 奇妙な難事件が次々と起こる。これに挑むのは天才科学者湯川学。人並外れた頭脳と 科学の力で…

『巷説百物語』

世は江戸の昔、まだ人と人ならざるものの境界が曖昧だった時代。その日は、明け方から雲行きが怪しかった。程無くして降り出した雨に追われた者たちは、集う山小屋で夜明かしの百物語を始めた。その場に居合わせた青年、百介はその場に漂う異様な雰囲気を感…

『天使と悪魔』

スイスのとある研究所から、危険な「反物質」が盗まれ、その開発者が殺害された。 死体には奇妙な焼印が押されていたため、ハーヴァード大の図像学者ロバート・ラン グドンに連絡が入る。ラングドンはこの焼印を16世紀に創設された科学者たちの秘密 結社「イ…

『のぼうの城』

槍が使えない、馬にも乗れない、農民たちにまで呆れられる、ただ図体が大きいだけの、でく「のぼう」様・成田長親。 彼に挑むのは二万の大軍を率いた石田三成。対する長親勢はわずか五百。 絶望的に不利な状況の中で、城代となった長親が出した決断はいかに…

『THE MANZAI』

弱気でネガティブな主人公の瀬田歩が、見かけによらず温和な(そしてちょっとホモな)同級生の秋本貴史と、漫才を通じて互いの絆を深めていきます。そして、彼らの周りの同級生との関わりも含めて、中学生のピュアな青春が描かれています。あさのあつこの小…

『こころ』

高校の教科書に載っているため、誰でも一度は読んだことがあるはず。しかしそれは一部分だけ。全体を通して読んでみませんか。主人公「私」は「先生」に出会う。「先生」には美人な奥さんがおり、何不自由のない生活をしているように見えるのに、どこか禁欲…

『氷菓』

「古典部」シリーズ第1作!“省エネ”をモットーとする折木奉太郎がなりゆきで入部した古典部の仲間と一緒に日常に潜む謎を次々と解き明かしていく青春ミステリ!33年前の文集に秘められた謎とは…!?ミステリですが、人が死ぬような物騒な話はありません。 “や…

『総理大臣のえる!』

この本は挿絵といい言葉遣いといいライトノベル感バリバリです。しかし内容は単なるライトノベルでは終わらない所があります。まず、主人公の勢いのあるキャラがいい。勢いだけではありません。ちゃんと各政策にはその政策を考案した意図があります。そうし…

『すべてがFになる』

犀川先生がカッコいいんだ…!孤島のハイテク研究所にいる天才工学博士・真賀田四季。なんと彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れ、偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な…

『100回泣くこと』

とても優しいけれど、とても切ないお話。主人公が彼女とともに営む時間は穏やかで、心がふわっとあたたかくなるような幸せが散りばめられている。死にそうだった愛犬ブックが回復したり、ブックのためにとオートバイを彼女と二人修理したり、「結婚の練習」…

『太陽の塔』

その男、大学5年生。私ほどの人間が大学から学ぶことなどない。かつて「恋人」の仲であった水尾さんが私ほどの男を拒絶したのは何らかの理由があってのことなのだから、私は崇高な意志のもとに彼女を研究している。断じてストーカーなどではない。極度の妄…

『Story Seller』

“面白いお話、売ります。”という言葉に目を惹かれて見つけた一冊。七つの短編を読んでみたら、どれもたしかに「面白い」のです。収録された作品に共通のテーマはありません。心がふっとあたたまる話、熱い青春の話、背筋が凍える話、胸をしめつけられる話………

99.9%は仮説

実に挑発的なタイトルである。科学理論で語られることは、実はほとんど仮説であるというのが本書の主張なのだが…、正直これを読んだ僕(当時高三)は怒りに悶絶することになった(後にも先にもそんな本は数えるほどしかない)。なんでこうなったかは読んでい…

名探偵の掟

この本は名探偵天下一大五郎が、ミステリーの定番である密室、アリバイ、ダイイングメッセージなどが関わる数々の難事件を解き明かしていきます。ここまでは普通の推理小説と大差がないように思われますが、この本はミステリーの裏側を暴露しており、推理小…

西の魔女が死んだ

中学校に行けなくなってしまった少女まい。彼女が「西の魔女」おばあちゃんの家で、自然とともに暮らすひと月のお話です。 何でも自分で決めること、それがおばあちゃんがまいに与えた「魔女修行」。自分の生き方に悩み、行き止まってしまったまいの心を、お…

秘密

バスの事故により、主人公の娘の体に、その事故で死んだ妻の人格が乗り移ってしまったという若干SFっぼい設定で物語は始まる。 始めのうちは、主人公と娘(妻)との奇妙で「秘密」な共同生活がなかなか面白く、コメディーみたいに軽快に話は進んでいく。しか…

天地明察

江戸時代。主人公・渋川春海が改歴の命を受け、それを成し遂げるまでの長い年月を追ったお話。一介の碁打ちであった春海は突然、新しい暦を作り上げるという大きな計画に参加することに。それまでずっと飄々と生きてきた彼が、運命に翻弄されながらも改歴の…

金色の野辺に唄う

この物語は、読んでとても心が温まりました。92歳の大おばあちゃんが亡くなる直前のお話が、秋の美しい情景と共に語られていきます。各章ごとにメインの人物が変わり、様々な角度から物語の世界を楽しむことができます。秋にはぴったりのピュアな一冊です!(…

終戦のローレライ

「友達の本棚に並べたい本」ということで、私がミリタリー小説を読むきっかけになった本を。 第二次世界大戦末期、日本がドイツから入手した潜水艦伊507に乗艦した主人公。その潜水艦には元々、戦争の形態を根本から変えてしまうという秘密兵器「ローレラ…

指輪物語

映画「ロード・オブ・ザ・リング」でその名を聞いた人も多いのではないでしょうか。トールキンの名作、『指輪物語』の紹介です。 ホビット族の青年フロドは誕生日に、養父から指輪をもらいます。実はその指輪はすべてを支配する力を持つ「一つの指輪」であり…

神様のカルテ

一止さん、イケメン!主人公だけでなく、登場人物がみんな素敵すぎて…!こんな病院があったらいいのに。こんな人たちがいたらいいのに。こんな病院だけじゃだめだって分かってる。でもやっぱり自分が見てもらうなら本庄病院がいい。自分もこんな風に死ねたら…