『鼓笛隊の襲来』

なんだこれは… どれもこれも現実とは並外れた奇妙な世界が広がっている。この本は短篇集なのだが、どれもこれも変である。本の題名にもなっている「鼓笛隊の襲来」。夏の間に日本を襲うのは台風であるというのが常識である。しかしこの話の中では襲来するのは“鼓笛隊”である。次は覆面して会社に出社していいことになった世界「覆面社員」。ある日突然同僚が覆面して、名前も変え新入社員のように出社してくるというお話である。その他にも人間の意識の奥底を揺さぶるような短編が収められていて、読み終わると非常に不安定な気分になることまちがいなしである。不思議な物語が好きな人はぜひとも読んでもらいたい。
(紹介者:フクイ)

鼓笛隊の襲来 (集英社文庫)

鼓笛隊の襲来 (集英社文庫)