ハーモニー

お久しぶりです。オクダです。
今回は我が敬愛する伊藤計劃さんの“最期の長編”『ハーモニー』を紹介します。
未来。人類は、風邪やインフルエンザ、癌といった病を駆逐することに成功した。大人になると人は体の中に小さな機械を入れ、自分の恒常性を保ってもらう。そして、人間は一人ひとりが「リソース」なのだから、みんなが自分を、他人を大切にしなければならないし、調和こそがよりよい世界だと信じられている世界になった。
そんな世界を疎んだ少女たちは餓死を選択するが、主人公トァンは生き残ってしまう。何年か後、ハーモニーが支配する世界で、同時に1000人以上が世界各国で自殺する不調和が起きる。そこに、トァンは昔一人で逝ったはずのミァハの影を見る。

ヒトは何をもってヒト足り得るのでしょうか?善とは、幸せとは何なのでしょうか?科学が発達したら。相手のことを想いやることは本当に大事なこと?病床の伊藤がこの話を書いたことを考えると、切なくて苦しくて。でも人間として大切なことを考えさせてくれて、大好きな作品です。全篇を通しての形式的な違和感がラストで本当にすっきりします。そして、ひとかけらの苦しさが残ります。

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ぜひ読んでみてください!