青春の証明by神谷

新装版 青春の証明 (角川文庫)

新装版 青春の証明 (角川文庫)

 はい、神谷です。それでは、感想でも書き込ませて頂きます。

 某の母者が森村誠一のファンでして、家には本棚の一列を占拠する勢いで森村氏の著作が並んでいるわけです。そこで一度読んでみようと何気なく手にしたのがこの本だったのです。

 内容は、恋人と公園でいちゃついていた所を暴漢に襲われ、助けに入った警察官を助けることなく見殺しにしてしまった男が、恋人に「卑怯者」の一言をのこして去られてしまい、その汚名を雪ぐために安定した生活を捨てて警察官に転身し、犯人探しに一生を捧げるというものです。

 私の生まれる以前の作品ですので描かれている時代に実感が湧きませんが、それにしても、主人公の男を中心として、様々な事情を抱えた人物を巧みに時間軸を前後させて描き、一見何の関係もないその人々を一つに結び付けていく手法が実に見事です。そして結末は予測不可能で、驚くべきものでした。ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、物語のすべてが覆るほど強烈なものでした。男が一生を賭けて追い求めていた真実とは一体何だったのか…是非ご一読を!