ローマ人の物語by澤田

 

 全十五巻の超大作をようやく読み終えました。

 ローマ帝国の歴史を扱った書物というのは圧倒的に衰亡史が多いですが、これはローマの誕生、興隆、安定、衰退、滅亡すべてを時系列順に追っていった意欲作です。時系列順といっても、教科書のようにただ人名、出来事を列挙していくのではなく、その時代を代表する人間、しない人間の諸所の言動を見ることでローマの歴史を探っていきます。  

 なぜローマ人が「法律」の重要さに気づいたのか。特に才能のある民族であるわけではないローマ人が発展できた理由は。なぜローマは何百年もの間覇権国として君臨することができたのか。それほどまでに力を持っていたローマ人ですらも滅亡を免れられなかったのはなぜか。歴史の著名な現象を薄っぺらに追っていくだけでは味わえない歴史の奥深さを味わえます。