ガリア戦記

ガリア戦記 (岩波文庫 青407-1)

ガリア戦記 (岩波文庫 青407-1)

 極上の一冊ですが、いかんせん読みづらいので評価は4です。

 ガリア戦記というのは、共和制ローマ末期の政治家ユリウス・カエサルが、ガリア地方(現在のフランス)を制覇していく過程を記したものです。
 別に後世に残すために書いたわけではなく、同時代人に向けて書いたものなので、かなりの知識を必要とします。が、読むと面白いです。その理由は…

 1.名文である。簡潔にしてわかりやすい(現代日本人にとってはそうでもないが)のが特徴のカエサルの文体は、読み応えがありながらすっきりとしている(らしい)。
 2.文献として興味深い。共和制から帝政への移行を志向したカエサルが、ローマ市民を説得するために記した本であるがゆえに、単純な出来事に記述にとどまらない。
 3.名政治家の文章である。政治家としてのみならず、武将としても傑出した才能を持っていたカエサルであるから、その言動は現代においてもなお学ぶ価値あり。
 
 文庫の中でもかなりしんどい部類に入る本だと思いますが、これくらいまでならなんとかなります。