神様のパズル

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

引き続き神谷です。

内容は、留年寸前の綿さん、が天才少女の穂瑞沙羅華と共に宇宙を作ることは出来るのか?という問題に挑戦していく様子を描いたものです。

典型的な文系人間である私には、物理学の専門用語が多くて議論の場面になるとチンプンカンプンになり、もう年なのか、後半の急展開についていくのに息を切らしていました。もっとも、専門用語に関しては適当に受け流していたので何とかなりましたが…

私にとって最も印象に残ったのは、研究所の近くで農作業に従事しているお婆さんです。この世界は何なのか?自分は一体何のために生まれたのか?といったことを考えることなく農作業に従事していて、沙羅華は「何も分からずに生まれ、死んでいくだけの哀れな存在だ」と言います。一方でお婆さんは、「いろんなことを知ったら知っただけ、自分のいるところが小さなる」と言っています。

知ることは喜びであると共に、一つのことを知ることでまた一つ、更に一つと、知りたいことは際限なく増えていき、やがて知ることの出来ない問題へとぶつかり苦しむことになります。だったら何も知らない方が幸せではないのか?己の無知を知らなければ、己の愚かさに悩むことはないのでは?そんなことを、読みながらふと考えてしまいました。