裁判官の爆笑お言葉集 byいけだ

最近本の紹介とかあんまりやってないケド、いきなりブログにしてみる。しかも新刊を!

裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)

裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)

残念ながら爆笑は、あまりできない。

外国人の強制送還のニュース(さいきんは少ないケド)とかを見てると、裁判所ってなんてムゴくて人間味のないところだな、とか思ってしまう。

実は判決文や公判には裁判官の人間らしさ・人間味があふれている場合が多い。この本は、裁判所のなかのそんな部分ばかりを集めた本だ。

どうかこの本を読んで誤解を解いてほしい。あなた自身のためではなく、毎日仕事に追われてゴールデンウィークくらいしかゆっくり休めない裁判官のために(ひょっとしたら彼らにはゴールデンウィークもないのかもしれない)。

目次

  1. 死刑か無期か?―裁判長も迷ってる
  2. あんた、いいかげんにしなさいよ―あまりに呆れた被告人たち
  3. 芸能人だって権力者だって―裁判官の前ではしおらしく
  4. 被告人は無罪―「有罪率99.9%」なんかに負けない
  5. 反省文を出しなさい!―下手な言い訳はすぐバレる
  6. 泣かせますね、裁判長―法廷は人生道場
  7. ときには愛だって語ります―法廷の愛憎劇
  8. 責めて褒めて、褒めて落として―裁判官に学ぶ諭しのテク
  9. 物言えぬ被害者を代弁―認められ始めた「第3の当事者」
  10. 頼むから立ち直ってくれ―裁判官の切なる祈り

日本には死刑制度というものがある。死刑制度が良いかどうかは賛否両論だが、実際にこの制度は存在する。存在する以上、裁判官は死刑を宣告しなければならないときもある。その裁判官の心情たるや、尋常なものではないであろう。そのような時こそ、判決文や公判で裁判官の人間らしさが垣間見えるのだ。

逆のこともありえる。どれだけ残虐な犯罪を犯しても、現在の法秩序を乱すような重い判決をくだすことはできない。「それじゃアマすぎるよ」と一般人は考え、「もっと厳しい判決を期待します」とマスコミは論調を張る。裁判官だって人間だ。おそらく本心ではそう思っていることだって、あるだろう。そのような時、裁判官は判決文をどのように書いているのだろうか?

そのようなことを考えながらこの本は読んでほしい。左に判決文(あるいは公判中の裁判官の発言)、右にはその経過や解説が書かれている。一つ一つが短い(だって2ページで完結してるんだから)だけに読みやすい一方、想像力を逞しくする必要もある。

この本を読んで、裁判官だって人間なんだと思った。メディアデバイスというのは無意識のうちに私たちに蔓延している、そう気づいてほしい。